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プレプリント・サーバー

プレプリント・サーバー(preprint server)とは?

査読の過程を経ないで素早く論文を公開できる「プレプリント・サーバー」という仕組みが、近年広がりを見せています。多くの場合、 プレプリントにはデジタルオブジェクト識別子(DOI:digital object identifier)が付与されるため、 他の研究者による引用が可能です。 しかも、 DOIには「公開のタイムスタンプ」が含まれており、 その研究成果を誰が最初に発表したのか周知することができます。

 

プレプリントの信頼性を判断する基準は?

プレプリントサーバーで公開されている関連データ(研究データや資料、ソースコード他 補足ファイル)から

研究の特色、その他の関連要素、再現性の分析を。

Research Square等では、研究者や関連分野の専門家によってプレプリントにコメントが付与されています。こういった「研究コミュニティによるレビュー」を確認してみる。また、ダウンロード数やMendeleyヘの保存回数等で反応を確認。

著者の信頼性を、Scopus、Web of Science、GoogleScholar等で調べてみる。h-index等で著者の評価を確認。

その原稿が査読プロセスの中でどのような状況にあるか確認する。例)Research Square提供の「In Review」等(査読のタイムラインとリアルタイムの更新で原稿のステータスを追跡します)

 

様々なプレプリントサーバー

 

  arXiv(アーカイヴ)」(1991年スタート、世界初のプレプリントサーバー): 数学・物理学分野ではarxXivの利用が当たり前になっています。物理学・数学・コンピュータサイエンス・統計学・量子力学をはじめとする分野のプレプリントサーバー

 

bioRxiv」(2013年コールド・スプリング・ハーバー研究所が設立): 生命科学分野の研究を掲載するためのプレプリントサーバー

 

  ChemRxiv」(2017年化学分野学術団体のコンソーシアムによって設立): 「化学および関連分野の未公表プレプリントを投稿・配布・保存する」非営利のサービス

 

  MetaArXiv」(2017年学術研究の透明性と再現性を高める目的で設立): BITSSBerkeley Initiative for Transparency in the Social Sciences)が運営する多分野横断アーカイブ

 

  Authorea」(2017年ワイリー出版が執筆者が「最新のオープンな研究成果を探したり公開したり」するのをサポートするために設立): 営利型のプラットフォーム

 

  AfricArXiv」(2018年少数の熱心な研究者グループによりスタート): あらゆる学術分野のアフリカ研究を対象とした完全無料かつオープンリソースのデジタルアーカイブ

 

  Research Square」(2018年リサーチスクエア社が設立): 営利型だが論文執筆者による原稿の投稿は無料。Research Square上に直接投稿できるほか「In Review」という仕組みがあり、530を超える学術誌に論文を投稿すると同時にプレプリントを公開できます。

 

  medRxiv」(2019年コールド・スプリング・ハーバー研究所が設立): 医学・医療・健康科学研究を掲載するプレプリントサーバー

 

  Preprints.org」(2020MDPIMultidisciplinary Digital Publishing Institute)が設立):「多分野横断」という組織名が示す通りあらゆる分野の研究論文を受け付け、投稿後すぐに閲覧可能です。

 

  Jxiv」(2022年に科学技術振興機構によって設立): 日本発のプレプリントサーバー。研究成果の迅速な公表をサポートし、オープンサイエンスを促進することを目的に設立。表示画面は日本語・英語の2つがあり、研究を世界に広く発信するため多くの原稿で英文概要も掲載されています。

 

  F1000 Research」:(F1000 Research社が生命科学分野の研究者向けに設立): 「論文をはじめとする研究成果を出版バイアスなしで迅速に公表する」サービスを提供。

 

  SSRN:(エルゼビア出版が運営する営利型のプレプリントサーバー): 『ランセット』誌やその姉妹誌と連携。査読中の論文原稿をプレプリントとして投稿することができます(2018年エルゼビアは、SSRN上で「Preprints With The Lancet」を開始)。SSRNは主に経済学、法学、コーポレートガバナンス、人文科学などの社会科学を専門としていたが、現在は、他の科学分野も対象としています。