オープンアクセスジャーナルに論文を投稿する際には、十分ご注意ください。
ハゲタカジャーナル(predatory journal)とは?
査読誌であることをうたいながら、著者から論文投稿料(APC)を得ることのみを目的として、適切な査読を行わない、低品質かつ悪質なオープン
アクセス形式のジャーナルです。 昨今、急激に増加しており、注意が必要です。
起こりうるトラブルとは?
- 投稿後にハゲタカジャーナルだと気づいても、論文の撤回が認められず、他の雑誌へ再度投稿することができない。
- 突然ホームページがなくなり、論文を閲覧できなくなる可能性がある。
- 著者のキャリアの毀損
- 所属機関の評価の低下
- 査読ジャーナルの形骸化
トラブルに巻き込まれないためには?
投稿する前に、ハゲタカジャーナルか否かを、十分見極める必要があります。
しかし、ハゲタカジャーナルは増殖と消滅を繰り返し、常に変化しており、ある時点でハゲタカジャーナルとされていたものが、後に健全な学術雑誌として
成長する可能性もあるのです。
そのため、ハゲタカジャーナルの特徴を十分理解し、投稿したい雑誌をチェックする必要があります。
ハゲタカジャーナルの特徴
- 投稿料金(APC) 事前に具体的な金額の明示がない (高額とは限らない)
- 出版スピード 非常に速い(2~3週間) 適切な査読があれば3か月~1年はかかるはず
- 長期保存 されない。気が付いたら閲覧できなくなっている
- 識別子 DOIが付与されていない (DOIを模した識別子SOIまで登場している)
- ジャーナルタイトル 正規のジャーナル名に似せていることが多い
- 住所や連絡先 非表示または偽装
- 査読 欠落、欠陥あり →掲載されている論文に、スペルミスや文法ミスが見受けられる
- マーケティング手法 スパムメールの多用、SEO対策→検索結果で自社サイトを多く露出をするために行う対策(検索エンジン最適化)
- APCの請求 受理(アクセプト)よりも前に請求
- ホームページの外観 立派、または稚拙
- 巻号 発刊予定の号が未刊、バックナンバーがランダム
- 編集委員 勝手に名前を利用
ジャーナルへ投稿を検討する際に確認、参照するとよいサイト
「Think Check Submit」http://thinkchecksubmit.org/
[1] ジャーナルへ投稿を検討する際のチェックリスト
https://thinkchecksubmit.org/japanese/
[2] 投稿予定の雑誌が信頼性の高いデータベースに収録されているか
ホワイトリストとしてお使いいただけるもの
・ Web of Science の収録雑誌 https://mjl.clarivate.com/home
[3] 投稿予定の雑誌の出版社が以下の団体に登録されているか
・ COPE(Committee on Publication Ethics) https://publicationethics.org/
COPEメンバー検索画面 https://publicationethics.org/members
・ OASPA(Open Access Scholary Publisher's Association) https://oaspa.org/
メンバー - オスパ (oaspa.org) https://oaspa.org/membership/members/
新手のハゲタカジャーナルにご注意ください。
ハイジャック・クローンジャーナル: 正規のジャーナルをハイジャックし、タイトルやISSNが同じなため、両者の区別が困難です。
バニティ・ジャーナル: 研究者にAmazon等で自費出版させます。コストは出版社が負担してくれますが、著作権や売り上げを搾取されます。
ご参考まで
ブラックリスト
・ Beall’s List https://beallslist.net/
2017年1月閉鎖 今でも匿名の有志により引き継がれ、更新中 (無料)
・ Cabell’s List https://www2.cabells.com/
4半期ごとにリスト更新あり ビールズリストの後継リスト (有料:本学契約なし)
参考文献
[1]粗悪な学術誌に盗用論文207本 インドの研究機関所属の複数研究者 | 毎日新聞 (mainichi.jp)(毎日新聞2022年9月16日記事)
[2] あなたの研究を粗悪なジャーナルに発表する5つの(悪い)理由 - クラーク - 2017 - (wiley.com) J Adv Nurs.2017 73(11)2499-2501.
[3] Grudniewicz A, Moher D, Cobey KD, et al. 2019. Predatory journals: no definition, no defence. Nature, 576, 210-212.
[4] Richtig G, Berger M, Lange-Asschenfeldt B, Aberer W, Richtig E. 2018. Problems and challenges of predatory journals.
Journal of the European Academy of Dermatology & Venereology, 32, 1441-1449.
[5] 文部科学省、科学技術・学術審議会情報委員会(第21回)の配布資料を公開:大学におけるAPC支払やハゲタカジャーナル等への対応状況に関する調査
結果も カレントアウェアネス・ポータルPosted 2021年11月5日